羽生善治大逆転十番勝負っていう本を読みました。

この本の内容は、将棋のプロの対局の投了図の一手前の局面から、勝った側をゲスト、負けた側を羽生さん(このとき羽生さんは七冠王です)がもって対局し、それを解説するというものです。ゲストは10人いて、それぞれ異なる投了図の一手前の局面から羽生さんと対局しています。これはNHKの番組の中で行われた企画のようで、放送した内容を書籍化したものとのことです。

投了図の一手前の局面から、実際に勝った側をゲストがもつので、普通に考えればゲスト側が超有利・・・・・のはずなんですが、実際はゲストは全然勝てていません。投了図一手前の局面からスタートということは、実際のプロの対局で「これにて投了」となった一手を指せればよいのですが、その一手を発見することすら難しい。

NHKでは、年末年始に「大逆転将棋」という番組も放送されていました。その番組の中では「投了図の一手前」ではなく「投了図」から、勝った側をゲスト、負けた側をプロがもって対局するという企画も行われていました。しかし、それでもゲスト側はなかなか勝てなかったですね。「投了図」からでもなかなか勝てないのに、「投了図の一手前」から相手を投了に追い込んだ一手を当てて、そのまま勝ちきるというのは、ゲストには至難の業だったと思います。

この企画をしたのは神吉宏充さんで、本の中で神吉さんは「投了図からの対局にするとゲスト側に有利になりすぎてゲストばかりが勝ってしまうことになる。だから、投了図の一手前からスタートしてもらった」ということを語っています。しかし、「羽生善治大逆転十番勝負」の結果や、「大逆転将棋」をみると、ゲスト側にもっとハンデがあっても良いのだろうなあと思います。それだけ、将棋のプロの投了図というのは、アマチュアにとっては難しいということが言えると思います。

ちなみに、この本からは、神吉さんの将棋愛がひしひしと伝わってきます。投了図も、過去の名勝負から神吉さんが厳選したらしく、神吉さんの将棋を世間に広めたいという気持ちが感じられる内容になっています。しかし、神吉さんをもってしても、ゲストの将棋の力量を見極めることは難しかったのでしょう。

個人的にはこういうイベントは面白いと思うので、もっとやってほしいなあと思います。


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