八百長に対する法規制ついて書いてみたいと思います。といってもすべての法律について書けるわけではないので、「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」に限定して書いて見たいと思います。以下、単に法律と書いているのは、「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」のことを指します。

この法律は、サッカーくじの制度について規定しています。サッカーという文字は出てきませんが、現状ではサッカーくじを想定した規定になっています。

この法律の中で八百長について規制し刑罰を科しているのは、37条と38条だと思われます。







法律37条 
機構の役員若しくは職員又は第十条第四号から第六号までに掲げる者(次条において「試合関係者」という。)が、その担当する第二十四条に規定する業務に係る職務又はその関与する指定試合に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。

法律38条
機構の役員若しくは職員又は試合関係者になろうとする者が、その担当すべき第二十四条に規定する業務に係る職務又はその関与すべき指定試合に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、機構の役員若しくは職員又は試合関係者となった場合において、二年以下の懲役に処する。
2  機構の役員若しくは職員又は試合関係者であった者が、その在職中に請託を受けてその担当した第二十四条に規定する業務に係る職務又はその関与した指定試合に関して不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。







試合関係者というのは、選手とか球団職員のことを意味しています。
おおざっぱにいえば、
①選手が賄賂を受け取ったらアウト(試合で不正をしなくてもアウト)
②選手が賄賂の要求・約束をしてもアウト(試合で不正をしていなくてもアウト)
③賄賂によって実際に試合で八百長をしたら、選手への刑罰は重くなる
④事前に八百長の依頼を受けて賄賂の要求や約束をしていた選手はアウト
⑤八百長の依頼を受けていた選手が八百長を実行し、試合後に賄賂の要求・約束をした選手はアウト
ということになると思います。
①~③は37条で、④と⑤は38条で規定されていることです。

法律の37条と38条だけをみると、八百長に関して金銭を受け取るか、金銭に関する要求や約束をしなければ、選手に刑罰は科されないことになりそうです。私も最初はそう思いました。
ところが・・・・






法律42条 指定試合においてその公正を害すべき方法による試合を共謀した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。






条文の言葉だけをとらえると、不公正な試合を「共謀」しただけで刑罰が科される(もちろん、37条・38条と42条で刑罰の内容は異なっています)。つまり、選手が八百長の相談をして、その相談が成立した時点で犯罪成立ということになります。

この解釈が正しいとすると、選手が具体的な試合に関して八百長をすることを相談した場合には、37条・38条のほかに42条も適用されそうです。でも、37条や38条で選手の八百長行為を処罰することを規定しているのに、42条まで適用される状態にしておいていいのか、という疑問が湧きます。

また、42条は、行為の主体に限定がない。つまり、選手が「共謀」した場合はもちろん、選手や球団職員とは何の関係もない一般人同士が「あの試合で不正をやろうぜ~」と共謀しただけで刑罰が科されるようにも読めてしまうと思います。

もしかしたら、私の知らない法解釈の方法があるのかもしれません。42条の言葉だけを読むと、処罰の対象範囲があまりにも広くなってしまいます。選手や球団とは何の関係もない単なる一般人が、八百長の相談をしただけで処罰されるというのは、いくらなんでも不当でしょう。

「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」42条の意味、誰かわかる人がいたら教えてください(笑)。

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