三鷹のストーカー殺人では、加害者が被害者である別れた恋人のわいせつな画像をインターネットに投稿していたと言われています。

恋人と一緒に撮ったわいせつな画像を、別れた後にインターネットに投稿すれば、基本的には名誉棄損罪に該当するでしょう。しかし、別れた恋人が死んでしまった後に、同じようにわいせつな画像を投稿したらどうなるでしょうか。


刑法には、以下のような条文があります。

刑法230条2項 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。


要するに、ウソをつかなれば、死んだ者について何を言っても名誉棄損罪にはならないのです(ちなみに、生きている者については、ウソではない事実を述べたとしても名誉棄損罪になる可能性があります)。

三鷹の事件の場合は、そもそも殺人という大きな罪が問題になっていますし、加害者は被害者が生きているうちからわいせつな画像を投稿していたようですので、死者の名誉云々の問題が顕在化することはないでしょう(もちろん、公然わいせつとかわいせつ物頒布罪とかそのあたりの罪も成立するはずです)。

しかし例えば、

①恋人である間にわいせつな写真を撮る

②その後2人は別れてしまう

③女の方が交通事故などで死んでしまう

④男の方が、元恋人の女と一緒に撮ったわいせつな写真をインターネットに投稿する

というケースがあったとしたらどうでしょうか。


男の方は、何もウソをついてはいません。だから、名誉棄損罪は成立しないことになるはずです。
もちろん、わいせつ物頒布罪などは成立する可能性が高いでしょう。しかし、このケースで名誉棄損罪が成立しないのはいかがなものかと思います。

三鷹の事件を受けて、「リベンジポルノ」という言葉が認知されてきています。そして、「リベンジポルノ」に対しては、名誉棄損罪やわいせつ物陳列罪や公然わいせつ罪によって対応するということも言われています。
しかし、偶然にも被害者が死んでいるという事情があれば名誉棄損罪が成立しなくなるのであれば、現行法ではリベンジポルノに対応しきれてないのではないかという疑念が生じてしまいます。

このあたり、そんなに大きな問題ではないのかなあ・・・。


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