川崎の被疑者逃走事件
2014年1月10日 時事ニュース コメント (2)川崎市で起こった、地検からの被疑者逃走事件についての雑感です。
その1、逃走罪について
まず、この被疑者は逃走罪には問われないようですね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140109-00000094-mai-soci
刑法には、「裁判の執行により拘禁された」者が逃げた場合に逃走罪が成立すると書いてあります。この「裁判の執行により拘禁され」ている者には、勾留された者は含まれるけど逮捕された者は含まれないのですね。
通常、被疑者は逮捕された後に(ちなみに逮捕できるのは最大72時間)、勾留されることになります。どちらも被疑者の身体を拘束する制度なのですが、逮捕が終わって勾留の段階に入っていなければ逃走罪は成立しないということになります。
今回の川崎での逃走事件では、被疑者はまだ逮捕の段階だったので逃走罪には問われないということのようです。
その2、2度の逮捕について
それと、今回の事件では、同じ被疑事実(強姦罪か)で2度逮捕行っていることになります(逃走前の逮捕と逃走後の逮捕)。
刑事訴訟法では、一つの被疑事実で可能な逮捕は一回という原則があります。捜査機関がテキトーな捜査をして同じ人が2回も3回も逮捕されないようにするためです。
ただ、被疑者が逃走したという場合には、同じ被疑事実で同じ人を複数回逮捕していいみたいです。
そりゃあそうですね。被疑者が逃げた場合にも2度目の逮捕が認められないとすると、逃げた者勝ちになってしまいます。
その3、犯人隠避・蔵匿罪について
今回の事件では、友人が逃走した被疑者を匿ったのではないかと言われています。それゆえ、被疑者の友人たちには、犯人隠避・蔵匿罪が成立する可能性があります。
一つカギになるのは、被疑者が地検から逃走していたことを知っていたかどうかという点だと思います。もし、友人らが被疑者の状況をしらなかったとしたら、友人たちに犯人隠避・蔵匿罪は成立しません。
もちろん、すべてわかった上で友人たちが被疑者の逃走に加担していたという可能性も十分にあると思います。ただ、友人たちがどういう認識でいたのかという点については、しっかりと調査する必要があるでしょう。
その1、逃走罪について
まず、この被疑者は逃走罪には問われないようですね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140109-00000094-mai-soci
刑法には、「裁判の執行により拘禁された」者が逃げた場合に逃走罪が成立すると書いてあります。この「裁判の執行により拘禁され」ている者には、勾留された者は含まれるけど逮捕された者は含まれないのですね。
通常、被疑者は逮捕された後に(ちなみに逮捕できるのは最大72時間)、勾留されることになります。どちらも被疑者の身体を拘束する制度なのですが、逮捕が終わって勾留の段階に入っていなければ逃走罪は成立しないということになります。
今回の川崎での逃走事件では、被疑者はまだ逮捕の段階だったので逃走罪には問われないということのようです。
その2、2度の逮捕について
それと、今回の事件では、同じ被疑事実(強姦罪か)で2度逮捕行っていることになります(逃走前の逮捕と逃走後の逮捕)。
刑事訴訟法では、一つの被疑事実で可能な逮捕は一回という原則があります。捜査機関がテキトーな捜査をして同じ人が2回も3回も逮捕されないようにするためです。
ただ、被疑者が逃走したという場合には、同じ被疑事実で同じ人を複数回逮捕していいみたいです。
そりゃあそうですね。被疑者が逃げた場合にも2度目の逮捕が認められないとすると、逃げた者勝ちになってしまいます。
その3、犯人隠避・蔵匿罪について
今回の事件では、友人が逃走した被疑者を匿ったのではないかと言われています。それゆえ、被疑者の友人たちには、犯人隠避・蔵匿罪が成立する可能性があります。
一つカギになるのは、被疑者が地検から逃走していたことを知っていたかどうかという点だと思います。もし、友人らが被疑者の状況をしらなかったとしたら、友人たちに犯人隠避・蔵匿罪は成立しません。
もちろん、すべてわかった上で友人たちが被疑者の逃走に加担していたという可能性も十分にあると思います。ただ、友人たちがどういう認識でいたのかという点については、しっかりと調査する必要があるでしょう。
コメント
「犯人蔵匿罪」における「『罪を犯した者』の意味について学説は大きく分けて、
真犯人に限るとする説(A説とする)、真犯人及び犯罪の嫌疑を受けて捜査中
又は訴追中の者とする説(B説とする)、真犯人及び蔵匿・隠避時の態様によって
真犯人であると強く疑われる者であるとする説(C説とする)がある。
判例はB説を採る(最判昭和24年8月9日刑集3巻9号1440頁)」そうです。
したがって、判例によりますと、
杉本被疑者の友人には、杉本被疑者が逮捕された後に逃げていることを知っていれば、
犯人蔵匿罪が成立します。なお、「最判」とは最高裁判決、
「刑集」とは最高裁刑事判例集のことです。
そうですね。私もB説の判例の考え方をもとに犯人蔵匿罪が成立するかどうか書いたつもりでした(捜査中であることを知らなければ故意がなく犯罪が成立しない)。
ちなみに、C説に対しては「強く疑われる」という基準があまりにも曖昧であること、A説に対しては真犯人でないことを確信していると常に犯人蔵匿罪の故意がなくなることになり妥当でない等の批判があるようです。
私個人としては、判例のB説がやはり妥当なのかなあと思います。