韓国の法制度はどうなっているのか
2014年5月31日 時事ニュース コメント (3)http://sankei.jp.msn.com/world/news/140529/kor14052912450002-n1.htm
セウォル号沈没事故で韓国の検察はまでに運航会社の会長らが持つ財産総額約239億円を刑事上の不法利得として全額没収する方針を決めたとのことです。
韓国の法制度がどうなっているかわからないのですが、日本の法制度から考えると突っ込みどころが満載の措置です。
箇条書きにすると、
・財産を没収するかどうかの判断を検察が行うのでしょうか。被告人の財産を没収するかどうかの最終的な判断は裁判所が行うものだと思うのですが。少なくともこの記事からは、検察が没収を行うかどうかの判断をしているように読めます(さすがに、没収を行うのは有罪判決が確定してからのようですが)。
・財産「全額」というのも驚きです。普通に考えると、犯罪と因果関係がある利益だけを没収しそうなものですが。財産全額没収というのは、運航会社の得た利益はすべて犯罪と因果関係の利益だという判断なのでしょうか。
・没収した財産を被害者への補償に充てるというのもどうなのでしょうか。刑事事件で没収した財産は直接に国庫に納め、被害者への補償は別ルートでしっかり行うものだと思うのですが。民事上の補償に検察が介入しているように見えるので、大きな違和感を感じます。
セウォル号の運航会社の会長を擁護するつもりはないのですが、しかし検察がこんな措置をとっていいものなのか・・・。
少なくとも日本のような法制度の下ではこういうことはできないでしょうし、絶対にやってほしくないですね。
セウォル号沈没事故で韓国の検察はまでに運航会社の会長らが持つ財産総額約239億円を刑事上の不法利得として全額没収する方針を決めたとのことです。
韓国の法制度がどうなっているかわからないのですが、日本の法制度から考えると突っ込みどころが満載の措置です。
箇条書きにすると、
・財産を没収するかどうかの判断を検察が行うのでしょうか。被告人の財産を没収するかどうかの最終的な判断は裁判所が行うものだと思うのですが。少なくともこの記事からは、検察が没収を行うかどうかの判断をしているように読めます(さすがに、没収を行うのは有罪判決が確定してからのようですが)。
・財産「全額」というのも驚きです。普通に考えると、犯罪と因果関係がある利益だけを没収しそうなものですが。財産全額没収というのは、運航会社の得た利益はすべて犯罪と因果関係の利益だという判断なのでしょうか。
・没収した財産を被害者への補償に充てるというのもどうなのでしょうか。刑事事件で没収した財産は直接に国庫に納め、被害者への補償は別ルートでしっかり行うものだと思うのですが。民事上の補償に検察が介入しているように見えるので、大きな違和感を感じます。
セウォル号の運航会社の会長を擁護するつもりはないのですが、しかし検察がこんな措置をとっていいものなのか・・・。
少なくとも日本のような法制度の下ではこういうことはできないでしょうし、絶対にやってほしくないですね。
コメント
日本の江戸時代における「闕所」(けっしょ)があります。
大坂の豪商として知られた淀屋が闕所をくらい、
いったん廃業に追い込まれたのです。
資本主義社会において、財産の全額没収は、周囲への影響力が大きすぎますので、
合理的で正当な刑事処分とは言えないと思います。
そして、財産の全額没収は、刑罰というよりは保安処分に近いと思います。
というのは、刑罰は犯罪と釣り合ったものでなければならないので、
財産の全額没収と釣り合う犯罪は滅多にないからです。
しかし、没収した財産を被害者への補償に充てるという制度は、
あっても構わないと思います。犯罪者が引き起こした犯罪による被害は、
なるべく犯罪者によって償われるというのが正しいと思いますし、
犯罪被害者がいちいち民事訴訟を起こす必要がなくなります。
民事と刑事を分離するという原則には、
これぐらいの例外があってもいいと思います。
中国と日本における律は刑事法です。
その律に、中国では贖刑(しょくけい)、日本では贖(しょく)と呼ばれた制度がありました。
「唐,宋法では,特定身分の者や老,幼などの制限能力者の犯罪に,
換刑として認められ (官品ある者は先に官当し,残余を贖する) ,
普通人でも故意を除き,過失によって人の生命身体に損害を与えたとき,
贖銅を徴して被害者の家に入れ,
実刑を科すのを免じることになっていた。」そうです。
つまり、刑を科す代わりにお金を支払わせて、
被害者弁償に充当したのです。
日本でも、養老律令の時代に、
初めて贖銅(しょくどう)の制度が規定されたそうです。
保安処分ですか。保安処分はその必要性が主張されているものの、人権侵害の程度が大きいために慎重な運用が必要なものですよね。このような保安処分的な措置を行ってしまう韓国の法制度には、やはり問題があると言えそうですね。
民事事件と刑事事件を同じ訴訟の中で解決する制度として、「附帯私訴」というものがあることを思い出しました。この「附帯私訴」は、刑事訴訟の中で被告人に対する損害賠償についても審理する制度です。
被害者救済の観点からは、戦前の日本に存在した附帯私訴の制度に学ぶべき点が多いのかもしれません。
贖刑についてはloving-c.さんのブログのコメントで。