http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160315-00000007-asahi-soci

プロ野球の賭博問題に関連して、試合前にチーム内で金銭のやりとりがあったことが発覚しています。これについて刑法の賭博罪に該当するかという観点から分析してみようと思います。

問題となっている事実関係はこのようなものです。
・試合前に「声出し役」を決める。
・試合に勝った場合には、他の選手が声出し役の選手に5千円を支払う。
・試合に負けた場合には、声出し役の選手が他の選手に1千円を支払う。

結論から言えば、賭博罪に該当すると言わざるを得ないのではないでしょうか。
刑法上の「賭博」という行為は、賭けを行う当事者の双方がリスクを負って何かを賭けることを言います。今回問題となっている事実関係のもとでは、試合の勝敗に応じて声出し役の選手とその他の選手がそれぞれリスクを負っているので、賭博でないとは言えないと思います。

これが例えば、「試合に負けた場合には、声出し役の選手がほかの選手に1千円を支払う」という事情がなかったとしたら、状況は全く異なってきます。試合に勝った場合にだけ声出し役の選手が5千円を受け取っているとしたら、声出し役の選手は損をするリスクを負っていないことになるからです。

これは、宴会でのビンゴゲームは賭博罪とならないのと同じ理屈です。宴会でのビンゴゲームは、結果としては主催者だけが損をして参加者が損をすることはありません。賭博罪が成立するには、当事者双方が損をするリスクを負うことが必要なのです。

今回のプロ野球で問題となっているケースでは、双方が損をするリスクを負っています。そのため、賭博罪でないというのは非常に難しいと思います。

ただし、検察が起訴する可能性は低いでしょうね。チームの士気を高めることが目的で射幸心をあおることが目的でなかったこと、金銭の額もそれほど多くなかったことなどは起訴するかどうかの考慮要素になるでしょうから。


それにしても、じわじわとプロ野球界がダメージを負っていることは、スポーツ好き人間の私としては心配になってしまいます。


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